主人公はトマト ~良く熟れた、ちょっとプライドの高いトマトさんの、ある夏のひるさがり~
「ある なつの ひるさがり。 まっかに うれた トマトさんが トマトのきから どった、と おちた」
夏になると読みたくなるこの絵本。
表紙いっぱい、はみ出んばかりに描かれたトマトさんの絵が何と言っても強インパクト。
このトマトさんのキャラクターが、とっても魅力的なんです。
暑い夏の日に、木から落ちたトマトさんが、近くに流れる小川へ泳ぎに行くミニトマトやトカゲを羨ましく思っていると、「トマトさんも泳いだら」と声をかけられます。が、プライドの高いトマトさん、「プカプカ泳ぐのなんかみっともない」と強気の返事。
しかし一人ぼっちになると太陽の暑さに体も心も痛くなって、、、「私も泳ぎに行きたいよう」と本音がポロリ。
強がっているけど、ほんとはそんなに強くない。「どこかの誰かさんみたい」、となんだか共感してしまいます。
このトマトさんが、虫たちやトカゲたちの力を借りて、「じゃっぷーん!」と小川に飛び込むところが私は一番好きです。上がる水しぶきに、気持ちよさそうなトマトさんの表情。冷たい川の温度が感じられるようで、私も一緒に飛び込みたくなります。一緒に読んでいた子どもたちも「気持ちよさそうだねー」と、大喜び。暑い夏の日にぜひ読んでいただきたい一冊です。